胃癌になりやすい体質はありますか?

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胃癌になりやすい体質はありますか?
望月 暁

理事長・院長 望月 暁

所属学会・資格

  • 医学博士 (研究テーマ:消化器内視鏡治療)
  • 日本消化器内視鏡学会関東支部評議員
  • 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本内科学会認定医
  • Digestive Endoscopy reviewer

HP
https://www.gutclinic-tokyo.jp/

胃癌の発症については、遺伝的・体質的な問題は比較的少ないとされています。しかし、過去にピロリ菌に感染したことがある方や家族性大腸腺腫症を患われている方などは警戒が必要となります。また、過度の喫煙やアルコール、偏った食生活なども胃癌発症との関係性は大変深いものです。いずれにおいても内視鏡を用いての定期的な検査機会を設け、予防や早期発見に努めることが重要です。

胃癌発症リスクが高いケース

過去にピロリ菌に感染したことがある方

乳幼児期を含めて過去にピロリ菌に感染したことがある場合には、生涯にわたって萎縮性胃炎の状態が続くため特に注意が必要です。定期的に胃内部の観察を行うことが大切です。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎の既往歴がある方

胃潰瘍や十二指腸潰瘍を繰り返す方の約8割以上はピロリ菌に感染していると言われます。ピロリ菌による萎縮性胃炎は胃癌の発症母地となりますので警戒が必要となります。

ご家族内に過去、胃癌を発症された方がいる場合

ピロリ菌による胃癌発症をされたご家族がいる場合には、ご自身もピロリ菌検査を行うことが推奨されます。ピロリ菌の有無については内視鏡による検査だけでなく、呼気を分析して簡単に調べられる方法もあります。

ピロリ菌

ピロリ菌は胃粘膜にいる細菌です。正式名称をヘリコバクターピロリと言い、一度胃内部に棲みつくと半永久的に増殖し続け、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを引き起こしてしまう強力な細菌です。感染者の約8割は家族(特に母親)からの経口感染と言われています。諸説ありますが、例えば免疫力が未完成な乳幼児期にピロリ菌感染しているご家族から口移しで食べ物をもらい受けてうつるケースや、衛生状態の悪い井戸水等を介してピロリ菌が体内に入り込む可能性などが指摘されています。ご高齢の方ほどピロリ菌の感染率は比較的高い傾向にあるため注意が必要です。一方で、成人になってから新たにピロリ菌に感染した場合には自己免疫力で十分対応できるものであるため慢性化しづらいとされています。

家族性大腸腺腫症の方

家族性大腸腺腫症と診断されている方は胃癌の発症にも警戒が必要です。通常の方と比べると発癌リスクは3倍にまで上昇します。胃・大腸それぞれにおいて定期的に内視鏡を用いた精緻な観察が必要となります。

食生活の乱れや喫煙、糖尿病による発症リスク

過度な喫煙や塩分の過剰摂取、糖尿病を患われている方は胃癌発症リスクは2~3倍高まります。例えば一日10本以上のタバコを吸う方、10g以上の塩分を日常的に摂取されている方などは要注意です。

年齢的な問題による発症リスク

年齢的な問題による発症リスク一般的に40歳以上から発癌率が高まるとされてます。それに伴い多くの自治体や企業では40歳以上の方を対象に胃癌検診が実施されています。年に一度の健康診断の機会を有効に活用するなど、ご自身の現状を確認されることは異常の早期発見のためにもとても望ましいことです。

癌化するポリープと癌化しないポリープ

健康診断や人間ドック等で胃のポリープを指摘された経験がある方もいらっしゃると思います。「ポリープ」と聞くと一瞬ドキッとしてしまいがちですが、ポリープには癌化するものとしないものの二種があります。例えば胃底腺ポリープと呼ばれるものは癌化しないポリープの代表例です。一方、過形成性ポリープや腺腫と呼ばれるものは警戒が必要となる注意すべきポリープです。中でも腺腫は約3割程度が悪性化すると言われています。過形成性ポリープも大きさが3cmを超えるような場合には癌化率が上昇します。過形成性ポリープや腺腫は主にピロリ菌が棲みついている状態で起こりえるため、詳細な検査や除菌が合わせて必要となります。癌化するポリープかどうかの判断については、内視鏡を用いての精密な検査が必要となります。

早期発見のためには内視鏡を用いての直接的な観察が必要です。早期発見のためには内視鏡を用いての直接的な観察が必要です。内視鏡レベルで切除可能な早期癌においては、今では5年生存率は95%以上となっています。
胃癌の発症において最も多い原因はピロリ菌です。そのため遺伝的・体質的な問題はそれほど指摘されていません。しかしながら、胃癌の家族歴があるというだけでも通常の方と比べると実に2.5~3.5倍ほどリスクが高まることもまた事実です。ご家族内で胃癌になられた方がいる場合には、その発症理由を詳しく精査しておくことはご自身の将来的なリスクを正しく理解するためにもとても有益です。胃癌は早期発見できれば今では内視鏡を用いて比較的簡単に切除が可能です。また、ピロリ菌以外にも胃癌発症には喫煙・塩分・糖尿病などといった生活習慣的な要因が深く関係しています。末永く健康な体であるためにも今一度、食習慣を見直してみることもとても大切です。ぜひ年に一度の健康診断の機会を有効に活用し、異常の早期発見に努めてください。

クリニック紹介

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