理事長・院長 望月 暁
所属学会・資格
- 医学博士 (研究テーマ:消化器内視鏡治療)
- 日本消化器内視鏡学会関東支部評議員
- 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本内科学会認定医
- Digestive Endoscopy reviewer
目次
初期の段階ほど症状が軽いため、つい見過ごしがちになる胃炎だからこそ要注意!
Q.胃炎になるとどのような症状が表れますか?
A.胃のあたりの不快感や鈍痛、吐き気といったような症状が見られることが一般的で、初期の段階ほどあまり痛みが表れないのが特徴的です。ゆえに、つい軽く見過ごしがちで痛みを自分で我慢しやすく、ときに胃潰瘍などに悪化することがある要注意の病のひとつです。
Q.胃炎にはどのような種類がありますか?
A.大きく分けると急性と慢性とに分かれます。
急性胃炎
暴飲暴食や刺激物、アルコール、薬剤やストレス等による一時的な影響により胃に炎症を起こしているもの。
比較的強く痛みが表れることが多いが、炎症の原因となっているものを取り除けば早期の改善を期待できるもの。程度がひどい場合には胃潰瘍に進行することがある。
慢性胃炎
長年に渡るピロリ菌の影響による萎縮性胃炎が代表的な病気です。胃癌の発生母地とも言われており、定期的な胃カメラによる胃癌検診が必要です。
Q.どのような治療や検査が必要となりますか?
A.基本的には内視鏡を用いて胃炎の程度や胃炎に伴う胃潰瘍やポリープ、出血箇所の有無等を念入りにチェックします。胃炎の程度によって適切な治療法を検討します。胃炎の程度が軽く、取り立てて症状がない場合には経過観察する場合もありますが、症状を伴う胃炎に関しては胃薬等を用いた短期的な薬物治療を行います。胃潰瘍や十二指腸潰瘍を伴うような場合は6~8週間程度の薬物治療が必要となります。一昔前の胃潰瘍治療は、入院しての本格的な手術が必要とされていましたが、現在は早期であれば内視鏡で止血しながら治療することが可能です。胃潰瘍は進行してしまうと胃の壁に穴が空くなどの重篤な状態になりかねません。最悪の場合、命に関わる状況になることもありうる病のため、早期発見・早期治療は何より肝心です。また、胃癌が認められた場合には、専門的な高度な治療が必要となります。
Q.胃炎の予防には普段からどのようなことに気をつければよいですか?
A.日常生活においては暴飲暴食や刺激物の過剰摂取、度数の高いアルコールを控えるなどの注意が必要です。また、痛み止め(例:ロキソニンなど)や血栓を予防する薬(例:バイアスピリンなど)を常用されている方などは胃薬を併用するなどし、強すぎる薬の効果から胃を守ってあげる工夫をすることが大切です。その他、強いストレスによっても胃に異変を感じられる方はとても多いものです。胃の粘膜は皮膚と同じく治癒力は比較的高いですが、ひとたびバランスを崩すと胃を守る力は途端に弱くなります。また、長期に渡りピロリ菌による影響を受けられている方なども早期治療が必要です。
胃炎は早期治療できれば怖くない病、ご自身の生活スタイルを見直す良い機会として捉えて
自覚症状の少ない方ほど「胃炎」と診断された際には驚くことでしょう。しかし、自覚症状が少ない方ほど、それは早期の発見である証拠です。早い段階に適切な対応ができれば、胃炎は比較的治りやすい病です。慌てることなく、現状の胃の状態を正しく理解し、適切な治療を開始することが大切です。
一方で、すでに胃の不快感や痛みを感じられている方は、それが「いつから」「どんなとき起きるのか」をもう一度丁寧に振り返ってみる作業が大切です。ひょっとすると今後重大な病に繋がってゆく可能性も考えられます。胃は私たちの人生に一生関わってゆく重要な臓器のひとつ。優しくいたわりながら、ご自身の生活スタイルを見直してみる良い機会として捉え、意識改革することもとても重要な取り組みと考えます。
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